中嶋・河野総合会計事務所top>>コラム>>過去ログ2(2008年3月31日〜2010年12月21日) >>過去ログ1(2005年3月22日〜2008年2月29日))
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平成22年12月16日に「平成23年度税制改正大綱」が閣議決定された。
今回の目玉は、多くの法人・個人に影響のある法人税の5%減税と相続税の基礎控除の引き下げだろう。
今年も主な改正点を列挙してみたいと思う。
・更正の請求期間の延長(国税通則法)
納税者が更正の請求を行うことが出来る期間 (法定申告期限から)現行1年→5年
(贈与税及び移転価格税制に係る法人税に係る更正の請求については現行1年→6年)
(法人税の純損失等の金額に係る更正の請求については現行1年→9年)
課税庁が増額更正できる期間 現行3年のもの→5年
(脱税の場合の増額更正期間は現行(7年)通り)
(平成23年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用)
・給与所得控除の見直し(所得税・住民税)
概算経費である給与所得控除が見直され、現行では青天井の給与所得控除額が、改正後は給与収入金額1500万円超で245万円が上限とされる。
役員給与等に関してはさらに給与所得控除が制限され、以下の金額が給与所得控除額とされる。
給与収入2000万超2500万円以下 245万円−(給与収入額−2000万円)×12%=給与所得控除額
給与収入2500万超3500万円以下 185万円
給与収入3500万超4000万円以下 185万円−(給与収入額−3500万円)×12%=給与所得控除額
給与収入4000万超 125万円
(平成24年分以後の所得税及び平成25年度分以後の個人住民税ついて適用)
・退職所得課税の見直し(所得税・住民税)
勤続年数5年以下の役員退職金については現行退職所得控除した残額を1/2した金額に所得税率が適用されているが、その計算措置を廃止。
(平成24年分以後の所得税について適用。個人住民税は平成24年1月1日以後に支払われるべき退職手当等ついて適用)
・成年(23歳以上70歳未満)扶養控除の見直し(所得税・住民税)
その年の合計所得金額が400万円以下である居住者の成年扶養親族は現行通り38万円の扶養控除が認められるが、400万円超の居住者の場合はその成年扶養親族が「65歳以上70歳未満の者、障害者、要介護認定者、病気療養者、勤労学生控除の対象となる者」でなければ認められなくなる。
(合計所得金額500万円までの負担調整措置あり)
(平成24年分以後の所得税及び平成25年度分以後の個人住民税ついて適用)
・金融証券税制
@10%軽減税率の延長(所得税・住民税)
上場株式等の配当等及び譲渡所得金額に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の適用期限を2年延長。
A先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び損失の繰越控除の範囲拡大(所得税・住民税)
上記適用対象に店頭で行われる外国為替証拠金(FX)取引等の店頭デリバティブ取引が含まれる。
これにより現行は総合課税で損失の繰越ができないこととされていた店頭取引のFX取引も、くりっく365・大証FX等の取引所取引のFX取引と同じく20%(所得税15%、住民税5%)
申告分離及び3年間の損失の繰越控除が可能になる。
反面、現行では他の雑所得との損益通算が可能である店頭FX取引も(FX等先物取引同士の雑所得の損益通算はそのままできるが)公的年金等の他の雑所得との損益通算はできなくなる。
(平成24年1月1日以後に行われる店頭デリバティブ取引等について適用)
・相続税の見直し(相続税)
@基礎控除額の見直し
現行の基礎控除額「5000万円+法定相続人数×1000万円」を「3000万円+法定相続人数×600万円」に見直し、課税ベースの拡大を図る。
A死亡生命保険金の非課税限度額の見直し
現行「法定相続人数×500万円」の法定相続人について大綱では「障害者、未成年者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者」に限定。
B税率の見直し
法定相続分に応ずる各人の取得金額
2億円超〜3億円以下 40%→45%
3億円超〜6億円以下 50%→変更なし50%
6億円超〜 50%→55%
C未成年者控除・障害者控除の引き上げ
1人につき6万円/年(特別障害者は12万円/年)→10万円/年(特別障害者は20万円/年)
(@〜Cの改正は平成23年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用)
・法人税の見直し(法人税)
@法人税率の引き下げ(法人税)
普通法人 30%→25.5%
中小法人
所得金額800万円以下 22%(18%)→19%(15%)
所得金額800万円超 30%→25.5%
(平成23年4月1日以後に開始する事業年度について適用)
A青色欠損金の繰越控除制限(法人税)
青色申告書を提出した事業年度の欠損金及び青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、(繰越控除をする損失発生翌事業年度以後の)繰越控除前の所得金額の80%相当額に制限される。
ただし資本金1億円以下の中小法人等は適用除外(現行の控除限度額を存置)
(平成23年4月1日以後に開始する事業年度について適用)
一方、上記損失額の繰越期間は7年→9年に延長
(欠損金額に係る増額更正期間、更正の請求期間も9年に)
B雇用促進税制の新設(法人税)
青色申告書を提出する法人で公共職業安定所長に雇用促進計画の届出を行ったものが23.4.1〜26.3.31までの間に開始する各事業年度においてその事業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末に比して10%以上
かつ5人以上(中小企業者等は2人以上)増加したときは、一定の要件のもと「増加した被保険者の数×20万円」が法人税額から控除できる。
ただし当期法人税額の10%(中小企業者等については20%)を限度とする。
・免税事業者の要件の見直し(消費税)
現行制度では、課税売上高が1千万円を超えた場合に翌々期から課税事業者となるが、こうした制度を悪用した課税逃れを抑制する観点から、課税売上高が上半期(6ヶ月)で1千万円を超える場合には、翌期から課税事業者となるよう免税事業者の要件を見直す。
ただし、中小事業者の事務負担にも配慮し、課税売上高に代えて支払給与の額が上半期(6ヶ月)で1千万円を超えるか否かにより判定することもできることとされる。
(上記改正はその年又はその事業年度が平成24年10月1日以後に開始するものについて適用)
・仕入税額控除制度におけるいわゆる「95%ルール」の見直し(消費税)
現行制度では、事業者の事務負担に配慮する観点から、課税売上割合が95%以上の場合には全ての仕入れについて仕入税額控除が認められているが、制度の趣旨に鑑み、
この制度の対象者を、1年間の課税売上高が5億円以下の事業者に限定する。
(上記改正は平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用)
主なものを拾い上げただけでもこれだけのボリュームである。 今回は来年頭の原稿執筆の兼ね合いもあって、何度か税制調査会の審理中継をインターネットで視聴していたのだが、圧倒的に審議時間が足りないように感じた。
各人が自分の省の省益を確保するために必死だという印象だし。
中には「要望にない項目」のような各省庁等からの改正要望がなく財務省主導で改正項目に挙げられたものもあり、これらは特に反対意見が出ることもなく、毎年ほぼ提言のまま実現している。
現場で申告業務に携わる税理士としては「要望にない項目」についても言いたいことは山ほどあるのだが、やはり声の大きい業界に配慮した結論という印象である。
少数意見(数は多いが声が小さいという意味の少数)も少しは汲み取る税制が無ければ公平感が出てこないと思うのだが。
<参考>
財務省HP
「平成23年度税制改正大綱(平成22年12月16日)」
http://www.cao.go.jp/zei-cho/etc/pdf/221216taikou.pdf
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企業の経理担当者が頭を悩ませるのが営業社員たちの経費精算業務ではないだろうか?
当事務所の顧問先でも仮払制度や、月末精算制度を採用している企業が多いが、個々の従業員ごとに作業する必要があるため、従業員の人数が増えてくれば、その事務負担は無視できないものになってくる。
ひどいケースになると、経費精算専用のパートさんを雇用している会社もあるぐらいである。
そんな、事務負担の増加に対応するためには、1ヶ月の使用限度額を設定した企業向けのクレジットカードの利用がお薦めである。
従業員が利用した金額は後日会社の預金口座から自動で引き落とされることになるため、経理担当者にとっては経費精算の手間がかからない(もちろん適正に使用されているかのチェックは必要だが)。
過去数ヶ月の利用明細もwebで閲覧できるため、チェックをするときの一覧性もあるし、従業員側にとっても領収書を無くしてしまったから精算できずに自腹を切るという悲劇もなくなる。
大企業などでは、導入が進んでいるこのクレジットカードの精算制度であるが、中小企業ではまだまだこれからといった印象である。
そんな中、先週こんなニュースが飛び込んできた。
三井住友カードは個人の事業主や中小企業向けに、記帳代行などのサービスが付いたクレジットカードを発行
正直「うーん。」という感じである。
確かにクレジットカードを使ったことにより精算業務はなくなるものの、それを記帳(会計ソフトに入力)する作業は残る。記事ではカード利用者に対してその記帳を代行するというサービスらしいのだが。。
今現在、クレジットカードの利用明細がwebで確認できるものであれば、その利用明細データをcsvファイル(Excelの保存形式の一つ)にて自分のPCにダウンロードできるものがほとんどである。
で、csvファイルでダウンロードできるのであれば、それを市販の会計ソフトに取り込めるような形式に加工することは、そんなに難しいことではない。
きちんと設定しておけば、ボタン一発で1ヶ月の仕訳データの出来上がりである。
したがって、それをお金を払ってやってもらうという発想自体がなく、記事はある意味驚きであった。
カードの付帯サービスとして無料で提供するならまだしも記帳代行料金をとるなんて。。
(しかも5,250円〜/月って一般的な会計事務所の記帳代行料金より割高な気がするのだが。)
個人事業者には金銭的な余裕も無い方が多いはずなので申し込みは少ないと思うが、もし利用を検討している方がいれば、Excelデータの変換方法を勉強した方が安上がりであることを忠告したい。
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SaaS(Software as a Service)とはインターネット経由で各種ソフトウェアを利用し、会計処理などが行えるサービスのこと。
中小企業のIT活用促進により、経営力・生産性向上をめざすため、インフラを整備し、サービス提供の環境づくりを行ってきました。
J-SaaSは、主に中小企業を対象に、財務会計などバックオフィス業務から電子申告までを一貫して行える、便利なワンストップサービス(SaaS活用型サービス)です。(J-SaaS HPより引用)
Saasでは今までのソフトウェアのように家電量販店でソフトを買ってきてPCにインストールして使うのではなく、必要なソフトウェアは使いたいときにインターネット経由で使用することができ、月々利用料を支払うソフトウェアサービスの利用形態である。
通常、Saasではバージョンアップ等でソフトウェアを買いなおす必要はなく、インターネットの接続環境さえあれば、どのPCからでも最新のバージョンのソフトを利用することができるため、ソフトの更新管理等の手間がかからないというメリットがある。
J-Saasは2009年3月31日にサービスの提供が開始され、現在は様々なソフトウェア業者により会計・販売管理・給与計算等のサービスが提供されている。
会計事務所向けの会計処理ソフトにもその波は押し寄せており、本格運用が始まっている。会計事務所では毎年の税制改正への対応が必須であり、複数台のPCを利用している場合が多い。
今までは、オフコンメーカーや市販の会計ソフトをPCの台数分、毎年のように買い直さなければならなかったが、J-Saasでは、1ライセンスで複数台でのPCの利用を認めている業者が多いため、普及が進めば、会計事務所の運営コスト削減にも大いに役立つことになるだろう。
多くの事務所が感じるJ-Saas導入への懸念は(1)今まで使用していたソフトとの操作方法が大きく異なるのではないかという点、(2)インターネット接続が前提であるため、PCローカルで動くソフトに比べてのレスポンスが落ちるのではないかという点、さらに(3)インターネットを利用したサービスは情報漏洩が心配だという点である。
(1)の懸念については、新しいインターフェイスのソフトであると、操作に慣れるまでに時間が必要であり、また移行期に入社した新人社員等には既存のシステムとJ−Saasの二つの操作方法を教えなければならないといった、かえって業務が非効率的になる恐れがある。
しかしながら、これはJ-Saasサービスを提供する業者を見れば分かるとおり、今まで会計・税務ソフトを作成してきた業者も多数含まれているため、自分の事務所が使っていたソフトと同じ業者のJ-Saasサービスを利用すれば、大きな操作方法の違いは起こらないだろう。
したがって、普及の鍵となるのは(2)レスポンスの速さである。ここさえPCと同じように使うことができるのであれば、かなりの会計事務所で利用が進むであろう。
(3)の懸念については、データを暗号化してつなげるため信頼できる業者さえ選べば、杞憂と言えるだろう。情報漏洩の可能性としてはインターネット経由より事務所の職員のUSB等によるデータの持ち出しや会計データの入ったノートPCの紛失等による漏洩の可能性の方がよっぽど高いと言わざるをない。
インターネットを利用したクラウドサービスのメリットは管理が容易である点の他に、災害等に強いという点がある。データは常に業者が提供するサーバー上にあるため、会計事務所や顧問先のローカルのPCのデータが破損しても、簡単に復元することができる。
これは前述の懸念をも上回る画期的なサービスであると感じる。会計事務所にとってデータ喪失は経営の根幹をゆるがす大事態に発展する可能性がある。したがって、会計事務所では情報漏洩もそうであるが、データの取り扱いに慎重である。紙で打ち出しとかないと心配だという先生も多い(火災等が起これば一緒なのだが。。)。
常にサーバー上にデータのバックアップが取られているという安心感は何者にも替え難いものがある
iphoneアプリのEvernoteなどが爆発的にヒットしているのはこのようなクラウド利用を前提としたサービスを無料で利用できるからなのである。
このような新しいITサービスの利用については過度に慎重になる会計事務所よりも、積極的に利用して業務の効率化に活かす会計事務所の方が、競争の激しさを増しつつある会計業界で生き残る可能性が高いのはいうまでもない。
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税制改正の方向性としては、法人税減税の流れにある。
こう言うと、「家計も苦しいのに、企業だけ優遇するのはけしからん!」という声が聞こえてくる。
気持ちは十分分かるのであるが、企業経営がここまでグローバル化して国境というものの意味が希薄化してくると、税金の話は日本一国だけで完結するものではなくなってくる。
税負担が企業の経営活動に与える影響を国際的な視点で考えていかなければならないのだ。
例えば、日本の法人税は中小企業の場合年間所得800万円以下なら18%、800万円超なら30%となっている。法人地方税も加えると実効税率は25%〜41%となる。
これに対し、アジア各国の税率は20%以下の国も多い(台湾20.0%、香港16.5%、シンガポール17%)。
G7・アジア諸国における法人税率・付加価値税率及び負担率(未定稿):財務省
法人所得課税の実効税率の国際比較:財務省
もちろん、企業の立地は税率の高さだけではなく、人件費・原材料・輸送費等の製造・販売コスト、産業規制、国民性、市場規模(購買力)、安全性、政治リスク等を総合勘案して決定することになる。
しかし、アジア諸国の経済成長、経済のグローバル化が著しい今日、日本が今まで持っていたこれらの立地決定要因に対する優位性は急速に失われつつある。つまり、地球全体で考えて一番製造コストが安い国で作って、一番高く買ってくれる国で売る方向にシフトしつつあるのである。
日本人の持つ金融資産の額は世界的に見ても突出しており、そういう意味で購買力としてまだまだ世界のトップクラスにあるといえる。
そこで、日本で商品を販売した場合には、当然日本で発生した所得(利益)に対して日本の各種税金が課税されることになる。
で、企業家や投資家は考える、税引き後で手元に残るお金はいかほどかと。
何度も言うが、アジア諸国の経済成長が著しいわけであるから、日本でなければいけないなんてことは殆どなくなってきている。
だから、政府は積極的に法人税率を下げ、規制緩和をして、外資を誘致するとともに、国内企業の海外転出を防ごうとしているのである。
こういうと「出て行きたい企業には出て行ってもらえばいい!」という過激派(?)な意見もあるが、日本企業の海外転出によってその企業に雇用されている日本人、その下請け先(仕入先)等の雇用がどれぐらい失われてしまうかを十分考えての意見なのだろうか。
雇用だけではなく、企業が納付する法人地方税などは地方公共団体の税収となり、我々への行政サービスの提供という形で少なからず恩恵を受けているということを理解しているのだろうか。
企業規模が大きくなればなるほど、国・地域に与える影響は無視できないものなのである。
とはいえ、法人税率の値下げ競争では自分の首を絞めることになるのは明白であるし、そもそも労働人口減少中の日本ではその競争に勝てっこない。
したがって法人税率については国際的に突出しない範囲にとどめ、さらなる規制緩和と産業のシフト(産業の創造)を促す政策が必要である。
日本の優れた技術力を持ってしても、日本で物を作って・・・。というビジネスモデルは明らかに行き詰ってきている。それを象徴するかのように国内企業の海外生産比率は増加の一途をたどっている。
これから世界にソフト(コンテンツ)を供給していく産業を根付かせなければならない。
口で言うのは簡単だが、これこそ中々難しい問題である。
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今年の本試験も8/5に終了し、9月からは来年の本試験向けの講座が各専門学校で始まる。
今回は、受験生として又現役講師としての長年税理士試験に付き合ってきた経験から税理士試験に必須のアイテム、ボールペンと電卓のお薦めを紹介したいと思う。
電卓にしろ、ボールペンにしろ選び方のポイントとしては、限りある時間の中で大量の問題をこなさないといけない(通常、時間内には終わらないボリューム)ことから、いかに早く解答できるか!が重要な要素となる。
そこでまずは、電卓から。
電卓を選ぶ上で重要なことは、試験では素早いキー操作が必要であるためキーピッチが広め(つまりボタンも電卓自体も少し大きめ)の電卓であるということが一つ。
ちなみに、計算問題で与えられる数字の桁が大きい場合が多いため、ディスプレイに表示できる桁は12桁以上が望ましい。
これは受験生の間では広く知られていることだが、たまにカード電卓(8桁ぐらい?)で簿記論の試験を受けに来ている猛者もいるらしいので、一応明記しておく。
さらに、もう一つがボタンを押した後の適度な反発力。感覚的なことなので説明しづらいが、押した後の跳ね返りが良いとスムーズにキータッチできる。真逆なのがサイレントキーを売りにした商品。
サイレントキーの電卓はボタンを押した時のカチャカチャという音が殆どしないので、他の受験生への気遣いをするという点で自習室等で勉強するときは適しているのかもしれない。が、いかんせん反発力が弱いため、ちゃんと押せているかどうかが分かりにくく、何か気持ち悪い感覚が残ってしまうので今回は却下。
あと機能的なところで、税理士試験では電卓のメモリー機能を使うことが多いので、「CM(メモリークリア)」、「RM(メモリーリコール)」、「M+(メモリープラス)」、「M-(メモリーマイナス)」のボタンが付いていること(※)。
※電卓の種類によっては「MC」、「MR」と表記されているものもあるが機能は同じ。
また安い電卓では「MC」と「MR」が一体になっている「MRC」というボタンしか付いていないものがあるので注意して欲しい。
数年前までこれらの特徴・機能を持った電卓は4〜5千円はしていたと記憶しているが、最近はその半分ぐらいになっているようである。
そこで私の一押しはこちらの電卓。
自分であれこれ選ぶのが面倒な人や忙しい人はこれを使っておけばまず間違いないだろう。
続いてボールペン。税理士試験では黒又は青のペン又はボールペンでの解答が義務付けられている。黒か青かというのは個人的な好みの問題なのでどちらでもいいのだが、自分の受験生時代を振り返ると(問題文とか解答用紙が黒で印刷されているので)、自分の書いた字が判別しやすいという意味で青のボールペンを使っていた。
で、ボールペンについて税理士試験で必要な機能はただ一つ。いかに早く書けるかである
これを最初の授業などで言うといつも驚かれるのであるが、税理士試験の理論問題では字は汚くてもOK。特に税法科目で条文そのまま解答しないといけない問題などでは、極端に言えば、多少字が崩れてても「他の字に見えなければOK」、「条文どおりに書けていれば試験委員は採点できます」というレベル。
それよりも、膨大な条文量をいかに時間内に解答用紙に吐き出せるかが重要。(蛇足だが個別理論なら合格レベルにある受験生は全員丸暗記しているので一度書き出せば手が止まることはない。それどころか20〜30分は連続して同じペースで書き続けなければならない。)
そこで、ボールペンの機能として要求されるのは、いかに滑らかに引っかかりが少なく書けるかということである。
ボールペンは電卓よりも価格が安いということもあり、受験生時代はそれこそジェルタイプのものから少し高価なものまで、各種のボールペンをちょっとづつ買い集めて自分に合う使用感を確かめたものである。
で、お薦めであるが、色々試した結果、元に戻って一番シンプルなものが、一番書きやすいという結論に達した。10本入りでこの値段なので、ボールペンの中ではかなり安い方ではないかと思う。
使用感は、最初使い始めは少し引っかかり感があるが、しばらく使っていると滑らかに書けるようになる。
受験生時代は抜群の使用感になるまで、少し使ったボールペンを本試験用に1〜2本温存していた記憶がある。
とりあえず、今までこだわり無くこれらのアイテムを使っていた人は一度試してみるといいのでは。
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先月、国税庁HPの報道発表資料に下記の記事がアップされた。
平成21年分の所得税、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(平成22年5月)
平成20年分の相続税の申告事績について(平成22年5月)
これらの資料(「3 贈与税の申告状況」)によれば、贈与税については平成13年以降700〜900億円ぐらいの税収で推移していることが分かる。
一方、相続税は平成13年以降1兆〜1兆5千億円ぐらいの税収(課税価格は10兆〜13兆円)となっている。
税収にここまで差が生じているのは、贈与税が相続税に比べて最高税率に達するまでの累進性がきつい(※)ため、多額の贈与を行うインセンティブが働きにくいことが原因だろう。
これは超富裕層でもない限り、無理に贈与して贈与税で課税されるより、相続まで保有し続けていた方が税負担が低いという現実があるからだ。
この税負担の差により世代間の資産移転が少額でしか行われず、高齢者に富が蓄積される原因となっている。
この世代格差の是正〜高齢者から若年者への資産移転の促進〜を行うためには、この相続税と贈与税の税率格差を設ける必要がある。
すなわち、相続税はさらに高い税率(かつての最高税率70%に戻すことも一案)を設定するとともに、贈与税を一律10%程度に下げてしまうのである。
また、相続税の基礎控除額も高すぎるため、平成21年で死亡者の4.2%しか課税が行われていない。この基礎控除も半減させて課税人口(?)を増やすべきである。
そうすると何が起こるか、富裕層はこぞって、そして富裕層でない人たちもせっせと若年層への贈与を行うようになるであろう。
そうなると税収の減少が心配となるが、先ほどのデータにもあるとおり、平成13年以降の相続税の課税価格は10兆〜13兆円あるわけであるから、(すべて贈与されたとして)これに贈与税の税率10%を適用しただけでも、現在の相続税の税収は確保できてしまうわけである。
しかも、この相続税の課税価格は死亡者の4.2%という非常に少数の被相続人の遺産を元に計算したものであるため、遺産が基礎控除以下の被相続人は含まれていない。
贈与が積極的に行われるようになれば、これら相続税が課税されなかった層に対しても贈与税を課税することができる。
現在の相続税の税収が確保できるなら、もう少し贈与税を下げてもいいくらいだ。
さらに大きいのは若年者が贈与された財産を消費することによる、景気の押し上げ効果と消費税の税収である。
現在収入に対する消費性向は各世代で70〜80%であるから、贈与される財産約10兆円の7割が消費に回ると考えれば少なく見積もっても7兆円、それに対する消費税は3,500億円(10%なら7,000億円)。
これこそが、日本経済がもう一度活力を取り戻す一石三鳥な方法ではないだろうか。
(ちなみに、孫の名前で預金口座を作っておじいちゃんが管理するいわゆる名義預金はおじいちゃんの相続財産となるので注意されたし!)
※最高税率は、贈与税が基礎控除(110万)後の課税価格が1000万円超で50%、相続税は基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人の数)後、各相続人ごとの取得金額が3億円超で50%。
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「日本は消費税引き上げ必要」IMFが声明
IMFからも指摘されたとおり、日本の財政赤字は危機的状態であり、改善のためには消費税の増税が不可避な状況となっている。
消費税は安定的な財源として期待されているが、国民生活に与える影響として、その逆進性(※1)が問題とされている。
逆進性緩和のために贅沢品に税率を高く、生活必需品には低くするという複数税率の議論や、非課税にするべきであるといった議論がなされている。
しかしながら前者の場合、現行の消費税の一律5%に比べると事業者側の事務負担が大きくなりすぎる点(※2)と、では生活必需品とはなんぞやという線引きが難しいという点で問題が残る。
後者の非課税とする方法に至っては、見た目の負担感を和らげるだけで、実質的な負担は課税にする場合とほぼ変わらない、まやかしの論法であるといえる。
実質的な負担はほぼ変わらないというのは、以下のとおりの理由からである。
現行の消費税の計算体系は消費者がお店で負担した消費税をお店(事業者)が納税する仕組みであり、納税の際には、事業者が商品仕入等の際に仕入先等に支払った消費税を差し引くことができる。
したがって、簡単に言えば(※3)、『消費者から預かった消費税 − 仕入先等に支払った消費税 = 納付税額 』ということになる。
しかしながら、この計算の際に、非課税売上に対応して支払う消費税は差し引くことができないこととされている。
例えば現在消費税法では身体障害者物品の譲渡は非課税とされているが、その部品(タイヤとかネジ等)には消費税が課税されている。
そのため車椅子メーカーなどは部品を仕入れるときは仕入先に消費税を支払うが、それが上記の納付税額の計算上は差し引くことができない(控除できない)。 そのため、部品仕入にかかった消費税は消費者ではなく車椅子メーカーが負担することになってしまうのである。
したがって、
消費税導入前に車椅子1台の販売価格 100,000円に対し部品代が30,000円かかっていた場合のメーカーの利益は70,000円。
これが消費税導入後は、車椅子1台の販売価格 100,000円(非課税)に対し部品代31,500円(課税 内消費税1,500円)となり、利益は68,500円
そうするとこのメーカーは、消費税の負担を回避するために値上げして消費税導入前と同じだけの利益を確保しようとするから、
車椅子1台の販売価格 101,500円(非課税)で、部品代31,500円(課税 内消費税1,500円)となり、利益70,000円を確保。となる。
お分かりのとおり、消費税非課税といっておきながら、実質的には流通過程で課税された消費税は消費者が負担することになるのである。
これが消費税非課税論法のまやかしなのである。
これを防ぐためには、2つの方法が考えられる。
一つは流通過程の取引全てを非課税とする(例えば野菜やお肉といった食料品なら、生産にかかる肥料や飼料代に至るまで全て)方法。
もう一つは、非課税ではなく対応し支払う消費税が控除できる免税取引にする方法である(※4)。
しかしながら、前者は上記のとおり、食料品の肥料が観葉植物の肥料として使われたり、ペットの飼料として使われたりした場合等の線引きの問題が残る。
後者の免税取引は現在「消費地課税主義」と「国際競争力の低下防止」を立法趣旨として、輸出取引等にしか認められていないため、消費税法の条文体系全体を見直す話になってしまう。
甘い言葉には裏がある。
IMFの言いなりは癪ではあるが、増税なら増税で国民に全て公表した上で説明し、一律15%にするべきである。
※1 お金持ちもそうでない人も、一律に課税されるため、所得の低い人ほど収入に対する税負担割合が高くなるという性質。
これに対し法人税・所得税・相続税などは利益・所得・財産の多い人ほど税負担額が多くなるという累進性がある。
※2 現在のアカウント(帳簿)方式とインボイス(証憑)方式の組み合わせでは、事業者が消費税の計算をする際に、複数の税率の取引ごとに集計を行う等の手間がかかる。
複数税率の場合には、払った消費税をそのまま集計できるインボイス(証憑)方式のみでの運用が必要であろう。
※3 厳密には、消費税法では、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れ等の税額を控除することとされており、それぞれ預かった消費税、支払った消費税とは「イコール」ではない。≒である。
※4 免税取引であれば、売上にかかる消費税は免除されるとともに、仕入時に支払った消費税は全額控除が可能である。
本文中の例で言えば、車椅子1台の販売価格 100,000円に対し部品代31,500円(課税 内消費税1,500円)で、一旦利益は68,500円となるが、消費税の計算で「預かった消費税0円 ― 支払った消費税 1,500円 = △1,500円(還付・雑収入)」となり手元には消費税導入前と同様の利益70,000円が残る。
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平成22年3月26日に話題の「子ども手当法案」が参議院で可決、成立した(施行は4月1日から)。
法案によれば、初年度の平成22年度は半額の1万3千円が毎月、子供の保護者に支給されることとなっている。
これだけ聞けば、子供を持つ親としては嬉しい限りであるが、子ども手当ての財源確保策として、平成22年の税制改正によって所得控除の一つである扶養控除が削減されることとなった(平成23年から)。
具体的には
0〜15歳 の扶養控除が廃止(38万→0万)
16〜18歳 の特定扶養控除(上乗せ部分)が廃止(63万→38万)
となる。 現在所得税と住民税の最低税率が15%(所得税5%+住民税10%)となるため、単純に考えて子供一人あたり38万×15%=57,000円の税負担増となる。
さらに従前の児童手当(1万円/月)をもらっていた世帯では、児童手当に換えて支給されることとなるため、平成22年度だけを見れば13,000円-10,000円=3,000円×12ヶ月=36,000円の収入増加にとどまってしまう。
子ども手当が満額(2万6千円)支給されれば、増税分の元はとれるのかもしれないが、支給と増税の組み合わせを一緒に見てしまうと、うまい話には裏があるということを痛感してしまう。
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国税庁HPで先週平成22年2月分の月間アクセストップ10が公表された。
それによれば、第1位が確定申告等作成コーナーで、他にも10位以内に確定申告関連の項目が並んでいる。
やはりというべきか、年末には年末調整の特集ページがランクインするし、確定申告時期には確定申告の特集ページと季節による変動が激しいランキングであると思う。
そんななか、常に安定した成績を残しているのが「路線価図等」のページである。
路線価とはその通り「路線(道)」につけられた価格のことで、土地等が相続、贈与されたときに相続税や贈与税額を計算するための根拠となる金額である。
路線価は1u当りの土地の金額を表しており、単純には路線価×土地の面積でその土地の相続税評価額が算出されるのだが、その土地の形やいくつの道に面しているか等によって金額が調整(加減算)される。
例えば土地の形が真四角より、いびつな形をしている方が評価額は安くなるし、逆に南側の一つの道路にしか面していない土地よりも、南北両方の道路に面している土地の方が評価額は高くなる。
さらに前面道路の道幅が狭かったら評価減ができるなど、その評価方法は中々に複雑である。
税理士によって税額に最も大きな差が出てくるのが相続税や贈与税だといわれるが、それには以上のような事情があるからである。
その他、路線価図は土地等の売買価格を決定するときの参考にもされることが多く、税理士以外にも不動産・金融関係の業界の方からもアクセスがあるため、常に安定したアクセス数を稼ぎ出すのだろう。
<参考>
国税HP
「月間アクセストップ10」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/access.htm
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最近、大量の所得税の更正の請求を行う機会があった。
(元々当事務所で行った確定申告ではなかったのだが。。)
更正の請求とは、納税者の申告手続き等によって一旦確定した税額につき、計算間違い等が原因で過大に申告を行っていた場合(税金が納めすぎになっているケース)に、それを是正する手続きである。
元々の申告の方が過少の場合(当初申告により納めた税額が本来納めるべき税額より少なかった場合)、納税者は修正申告を行ってその差額を追加納付することとなる。
(当然、過少申告加算税や延滞税等の罰金がかかる)
それに対し納めすぎになっていた場合には、納税者が行うことができる申告手続きは存在しない。
が、税務署側の手続きとしては、一旦確定した税額を是正する「更正」というものがある。
この更正には当初申告より納税額が増えるパターン(増額更正)と当初申告より税額が減るパターン(減額更正)がある。
そこで納税者は、更正の請求という税務署長に対して、減額の更正をして下さいというお願いをすることになる。
更正の請求は、あくまで「お願い」であって、申告手続きではないため実際に過大納付分の還付が行われるかどうかは税務署長の判断によることになっている。
請求した後、「確かに計算間違い等をしていて納めすぎになっている」と認められれば還付手続きが行われるのである。
この更正の請求ができる期間は原則として法定申告期限から1年以内となっている。
例外的に裁判等で判決が出た場合等(※)、当初申告の計算根拠になっていた事実に変動があった場合には、1年を超えて更正の請求ができる。
納税者側の更正の請求期限は原則1年以内なのに、課税庁側の更正手続きの期限は5年(法人税の欠損金額に係るものは7年)。
あからさまな「不公平」を実感できる規定である。
※最近の事例では「年金加入記録漏れ」の回復により(過去の源泉徴収税額が増加したことに伴って)発生する還付額の増加等はこの例外規定が適用されるであろう。
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国税庁HPにインターネット番組(Web-TAX-TV)というコーナーがある。
一般納税者に対して税の仕組みや改正内容を分かりやすく伝えようという趣旨で設けられているものであるが、平成22年1月には以下のものが新しく配信されている。
「税務署に行かずに確定申告!」
「住宅ローン控除が大幅に拡充・延長されました」
「贈与税が軽減されました!〜住宅取得等のための金銭の贈与を受けたとき〜」
「高橋英樹夫妻が語るITを活用した確定申告」
どのような内容を配信しているかについて興味があったため、
「高橋英樹夫妻が語るITを活用した確定申告」と「贈与税が軽減されました!」を見てみた。
前者については、高橋英樹夫妻が毎年初日に確定申告をしていることや、昨年始めてe-taxを利用したときのことが紹介されていた。
おそらく税務署の人にお膳立てしてもらって電子申告したのだろうが「クリックぽんっ。で「これだけでいいの?」という感じでした。」とかe-taxをちょっとほめすぎのような気が・・・。
経験者として「e-taxは初期設定が一番めんどくさいんだぞ!」と言いたい衝動にかられてしまう。
後者についてはお芝居風に昨年できた贈与税の非課税制度を紹介していたのだが、税法の条文をほぼそのまま会話に落とし込んでいるため、かなりの違和感が。。
福島さん(男性) 「親父からお金をもらったってことは贈与税がかかるんだよな〜。いくらぐらい払わないといけないんだろう・・・。」
キャスター(女性) 「福島さん。平成21年から父母や祖父母などの直系尊属からの贈与により取得した住宅取得等資金について、一定の要件を満たす場合には500万円まで贈与税が非課税となる制度が創設されたことをご存知ですか?」
…「直系尊属」とかありえんし。。
<参考>
国税HP
「インターネット番組(Web-TAX-TV)」
http://www.nta.go.jp/webtaxtv/
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平成21年12月22日に財務省が「平成22年度税制改正大綱」を発表した。
昨年の政権交代の影響で、今年は所得税を中心に大きな改正内容となっている。
所得税の扶養控除の見直し(廃止)などは新聞報道等で大々的に紹介されたため、ご存知の方も多いと思うが、それ以外にも以下のような改正が行われようとしている。
・非課税口座制度の創設(所得税・住民税)
非課税口座内の少額上場株式等の配当、及び譲渡所得等の非課税措置
※非課税口座には取得価額の合計額が100万円までの株式等の預け入れが可能。譲渡益、配当は口座開設年から10年間非課税。譲渡損失が発生した場合には、その損失はないものとみなされる。
・介護医療保険料控除の創設(所得税・住民税)
現行、一般の生命保険料控除5万円、個人年金保険料控除5万円の所得控除を→一般4万円、個人年金4万円、介護医療保険4万円に改正(上限12万円)。
住民税は現行一般3.5万円、個人年金3.5万円を→一般2.8万円、個人年金2.8万円、介護2.8万円(上限7万円)に改正。
(平成24年分以後の所得税、平成25年分以後の住民税から適用予定)
・100%グループ内の法人間の寄附(法人税)
100%グループ法人間(完全親子会社)の寄附金について、支出法人において全額損金不算入にするとともに、受領法人において全額益金不算入に。
(平成22年10月1日から適用)
・清算所得課税制度の廃止(法人税)
会社清算時の清算所得課税を廃止し、通常の所得課税に移行。その際に期限切れの欠損金の損金算入制度を整備する予定。
(平成22年10月1日から適用)
・仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化(消費税)
賃貸マンションの建設に係る消費税の還付を行うために、建設後、賃貸収入が発生する前で課税期間を区切り、自動販売機等の収入のみ発生させるといった行き過ぎた節税手法への対抗措置の整備。
課税事業者選択届出書の強制適用期間(2年間)及び新設法人(資本金1000万円以上で1,2期目が課税事業者となる法人)の設立2期の間に調整対象固定資産を購入した事業者は、その取得した課税期間以後3年間は引き続き課税事業者となることが強制される(強制期間は簡易課税の適用も不可)
(平成22年4月1日以後課税事業者選択届出書を提出した事業者の同日以後開始する課税期間又は同日以後設立された法人について適用)
新聞報道等で明らかにされていないことでも、事業者の税負担の構造が大きく変わりそうな改正が盛りだくさんである。
知っていれば、得をするが、知らなければ損をする。
何事もそうかもしれないが、税制改正があるたびに税金はその傾向が顕著であると感じる。
<参考>
財務省HP
「税制改正の内容」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/syuzei04.htm
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平成21年11月に国税庁のHPで、平成21年分の年末調整特集ページが開設された。
<国税庁HP:平成21年分 年末調整がよくわかるページ>
ここでは、年末調整の仕方だけではなく、昨年からの改正点や扶養控除申告書等の年末調整に必要な各種帳票がダウンロードできるようになっている。
帳票自体は国税庁HPに普段からアップロードされているが、特集ページとして年末調整に必要なものだけがまとめられて、しかもその書き方(使い方)も掲載されているため、非常に分かりやすいサイトになっている。
専用の給与計算システムを使用する税理士が使用する機会は少ないだろうが、自社で年末調整を行う企業には非常に役立つのではないだろうか。
元々国税庁のHPは、国民に身近な税金を取り扱っている関係で、年間何千万人(平成20年度アクセス件数 1億407万4千件!!)もの納税者が訪問しており、その利用頻度は各省庁の中でもトップクラスといえるだろう。
注目度が高いことを意識してか、その作りも非常に利用者の立場に立ったものとなっている。
かの「超整理法」で有名な野口悠紀雄氏もダイヤモンド社のビジネス情報サイトで「国税庁はこわい役所だが、ホームページは親切だ」とのべており、自身が運営するサイトでも国税庁HPの有用性を高く評価している。
(逆に社会保険庁のHPは低評価。。)
この点は他の官公庁も見習って欲しいものである。
しかし、税理士の立場から見れば、国税庁のHPだけでは問題が解決しないことも多い。
税制そのものの難解さをもう少し改善してもらわないと、調べてみたものの答えが見つからないということも多々ある。
行政の内部取り決め等はもっと公開すればいいのにと思う。
分かりやすさと正確さ、相反することが多い両者であるが、国税庁HPはどうにかバランスをとろうという努力が見え隠れするサイトである。
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平成21年10月19日に中小企業庁のHPで経営承継円滑化法申請マニュアルの改訂版がアップされた。
<中小企業庁HP:中小企業経営承継円滑化法申請マニュアルについて>
以前にもこのコラムで書いたとおり、円滑化法は1.遺留分に関する民法特例、2.金融支援措置、3.事業承継税制の基本的枠組み、という三本柱の構成となっていた。
そのうち「3.事業承継税制の基本的枠組み」について、税制上の手当の内容を踏まえて平成21年4月に制度の詳細を規定した施行規則が改正され、今回の申請マニュアル改訂となったのである。
具体的な税制上の手当とは、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の創設である。
制度の概要は、以下のとおり。
<相続税の納税猶予制度>
先代経営者の死亡により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を相続人である後継者が相続した場合に、所定の手続きを行えば、その会社の発行済み株式総数の3分の2までの株式等に係る相続税の80%の納税を猶予する制度
例)1200株(発行済み株式)×2/3=800株(特例適用株式)
※800株に係る相続税の80%の納税を猶予
<贈与税の納税猶予制度>
先代経営者から経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を受贈者である後継者が贈与を受けた場合に、所定の手続きを行えば、その会社の発行済み株式総数の3分の2までの株式等に係る贈与税全額の納税を猶予する制度
例)1200株(発行済み株式)×2/3=800株(猶予対象株式)
※800株に係る贈与税の100%の納税を猶予
これらの改正は換金性の低い中小企業の株式を相続等し、納税資金の調達に頭を悩ませる可能性のある経営者にとってはありがたい改正だと思う。
しかし、この制度の問題点としては、まず適用を受けるための手続きが煩雑すぎる(いずれも原則として相続・贈与前に経済産業大臣の確認を受ける必要があり、相続・贈与後は当初5年間は毎年経済産業大臣に年次報告書、税務署に継続届出書を提出、5年経過後は3年に一度、税務署に継続届出書を提出する必要がある。)
さらに適用要件が厳しい(現金・不動産等の特定資産が会社の総資産に占める割合の多い資産管理会社の株式等は適用を受けることができない。贈与の場合、贈与時に先代経営者は役員を退任する必要が有るなど)。
また、一旦適用を受けると会社の廃業、後継者の死亡等の特定の理由以外で株式を手放すと、猶予されていた相続税・贈与税を利子税とまとめて納める必要があるなど、適用後のリスクも高い(従業員の雇用維持要件、株式継続保有要件等がある。農地の納税猶予のように20年経過すれば猶予税額が免除されるといった規定は無い。)。
一番の問題は、猶予される割合が比較的高いのは相続財産のほとんどが特例を受ける株式等の場合であることである。
相続財産に株式等以外の財産が多くあれば、納税すべき相続税全額からの割合で言えばそれほど高い比率での猶予はされない。
※遺産総額5億円、うち特例適用株式が1億円、相続人2人のケースで単純計算した場合、猶予される相続税は1652万円(納付すべき相続税は1億2148万円)
事業承継に必要なのは株式だけではなく、先代経営者が所有していた会社の建物や敷地といった事業用不動産もあるはずだが、今回の納税猶予制度ではその点について十分に配慮されているとは言えない。
それでも今回の改正を好意的にとらえるなら、中小企業の事業承継問題の解決に向けて、とりあえず一歩前進したというところだろうか。
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今月は2件、税務調査の立会いを行う機会があった。
我々税理士が立会いをする場合、売上を意図的に除外していたとか、経費を架空で計上していたということを原因として税務署から否認はされることは少ない(重加算税対象)。
なぜなら、 そういう思想をもった経営者には税理士も危険を感じて寄り付かないからである(税理士に隠れてやっているつもりでも、しっかり帳簿を見ていればあやしいかどうかはすぐ分かる)。
したがって、税務調査の結果、修正申告を求められるケースとしては、単なる計算間違いか、収益・費用の計上基準の間違いがほとんどである。
「期ずれ」とは、そのまま、売上・仕入れの計上時期がずれているという用語である。
当期計上すべき収益が翌期に計上されている。あるいは、翌期計上すべき費用が当期計上されているということである。
売上の方は期中現金主義で経理している場合に発生しやすい。発生主義で経理していても帳端がある場合にも見落としがちである。
例えば3月31日決算の会社である取引先が20日締めの場合、3月分の請求書には2/21〜3/20の納品分しか計上されないが、税務上は原則として3/21〜3/31(決算日)の売上(請求書でいえば4月分3/21〜4/20に混ざってくる売上)も当期の売上として含めなければならない(帳端売上の計上)
また、売上の認識はきちんとやっていても、リベートや雑収入に計上されるような副収入については、経営上の重要性が低いということで、現金主義で認識してしまっている企業が意外と多いのである。
費用計上も同じく請求書は3月分で来ているが実際に納品されたのが翌月4月に入ってからということになれば、当期の費用にすることはできない。
会計上・税務上は納品ベースが基本である。
これらは税理士が会計データだけを見ていても中々気づきにくい部分でもあり、会社の経理担当者の方が、上記の収益・費用の計上の認識を持っていただく他、有効な対策はない。
決算時には「期ずれ」に十分注意していただきたい。。
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平成21年9月1日からダイレクト納付による電子納税が利用可能となった。
ダイレクト納付とは、「事前に税務署に届出等をしておけば、e-Taxを利用して電子申告等の送信をした後に、届出をした預貯金口座から、ワンクリックで即時または期日を指定して納付することができる電子納税の新たな納付手段(国税庁HPより)」である。
従来利用可能であったインターネットバンキングによる電子納税については、事前に金融機関との間でインターネットバンキングに関する契約が必要であった。
個人利用では利用料が無料のインターネットバンキングも法人利用や個人でも屋号つきの口座では、毎月数千円の利用手数料が必要な場合が多く、インターネットバンキングの契約をしていない納税者にとってはあえて電子納税のために手続きを行うというメリットは少なかった。
(電子納税の利用を機会に「他の振込業務もすべてインターネットバンキングに変更する」いう一つの動機付けにはなっただろうが)
そのため、電子申告ほどには電子納税の利用が進まないという現状があったわけである。
電子申告は税理士主導で行うことができるが、電子納税はお金の問題なのでどうしても納税者主導になってしまうからということも一因として考えられる。
この状況を打破するための制度として、今回始まるダイレクト納付は画期的なものといえる。
前述のとおり、ダイレクト納付は金融機関との事前契約が不要のため毎月の利用手数料がかからない。
さらに、従来の電子納税では納税手続きを行うと即時口座からの引落しがされていたが、ダイレクト納付では期日を指定した納税が可能である。
したがって、銀行口座残高不足だけを注意すれば、忘れないうちに(前もって)振替納税の手続きを行うことが可能なのである。
例えば9月18日に申告書は提出するが、口座からの引落しは納期限の9月30日に指定しておけば、9月30日に自動的に振替納税が行われることになる。
これにより、よくありがちな、税理士はちゃんと納付書を渡していたが顧問先が納付するのを忘れていたため延滞税等がかかってしまった、という事態を防ぐ事ができる。
実際にやるかどうかは別だが(それなりの責任が発生してしまうため)、ダイレクト納付により、これまでは難しかった税理士が納税者に代わって電子納税の手続きを行うことも可能になる。
ダイレクト納付の導入により今後電子納税の利用件数が増えてくることは疑いがない。
ちなみに実際の利用には届出書提出後、1ヶ月ほどかかるらしいので、要注意!
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書面添付制度とは、平成13年の税理士法改正に伴って拡充された制度で、
一定の書面が添付された申告書の提出があった場合、税務署は税務調査を行う前に税理士に意見陳述をする機会を与えなければならないとされているものである。
書面の書式は財務省令で決められていて、記載内容は申告書の作成にあたって税理士が計算整理したこと、参考にした原始証憑、納税者から相談を受けた内容等である。
意見聴取は原則として税理士が税務署に出向き、書面添付した内容についての詳細説明を行うことになる。このとき納税者の同席は想定していない。
意見聴取の結果、税務署側の疑問点が解消されれば調査省略になることもあるので、納税者にとっては出しておいて損になる事はない
ところが、この制度周りを業界内で周りを見渡してみると、税理士によって非常に温度差がある。
実施に消極的な意見としては、
「税務調査が省略される可能性がありますよ!」といっても絶対に省略になるわけではないから、書面添付分の報酬をもらえない場合が多く、であれば、税理士にとっては「手間が増えるだけだしやめとこか。。」となってしまうというものである。
確かにそうなのであるが、この書面添付と電子申告は近年新しくできた制度の中でも、税理士の存在意義をアピールできる絶好の機会ではないかと思う。
近年の規制緩和で税理士業務の無償独占という仕組みが無くなってしまう可能性も無い訳ではない。
(そうなったときには単に申告書を作るだけの税理士は淘汰されてしまうに違いない。)
そうならないようにするためにも、こういう税理士しかできない新しい制度ができたという機会を利用して「やっぱり資格を持った税理士さんがいてくれると安心だな〜」思ってもらえるように、我々も努力が必要なのではないだろうか。
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本試験。
それまでの専門学校での成績とか、人柄とか、個人的な事情とか、字の上手い下手とか、そんなものは一切考慮されず、ただ、2時間という限られた時間で作られた解答だけで、合否が判定される。
このように書くと試験とはなんとシビアな戦いだろうかと思う。
1年間の努力。何千時間という努力をたった2時間で判定されるわけであるから、緊張するなという方が無理な話である。
ほどよい緊張は、プラスに働くこともあるが、過度の緊張はマイナスに働いてしまう。
そこで簡単に緊張をほぐす方法をこっそりお教えしよう!
1.自分を客観的に見る
緊張するのは当たり前。いつも以上に慎重になり時間がかかる。したがって、いつも通りの実力が発揮できないのも当たり前。最初からそう考えておくと非常に楽である。
また緊張してると思ったら、今までの1年間の努力を思い出してみて、
「あれだけやったんだから、大丈夫!」
と開き直ることができれば完璧である。間違いノートや使い込んだテキストを眺めるのもいいだろう。
試験日前日までは不安を感じるエネルギーを勉強することに転換させるためマイナス思考の方がいいのだが、本試験の試験会場では思いっきりプラス思考でいくべきである。
関西弁なら「俺(私)が受からな、誰が受かるねん!」と。
2.ついでに周りも客観的に見る
それでも緊張がほぐれない人は、あえて周りを見渡してみる
普通、試験会場で周りを見渡すと「みんな賢そうに見えて」よけい緊張する。
なんてことも言われたりするが、ここは客観的に見て欲しい。
言葉は悪いが、自分よりできなさそうな人を探すのである。
「あいつには勝ってるな」とか「あの人できなさそ〜」とか。
不謹慎ではあるが、すべては合格のためである。
周りを客観的に見れれば少しは緊張もほぐれているハズ。
あとは「はじめ!」の合図とともに自分の力を信じてやるだけである。
ちなみに、自分の力を信じるのはいいのだが、最近の本試験では、到底解けない問題が忍ばせてあったり、時間がめちゃくちゃかかる問題があったりするので、「難しい!時間がかかる!」と感じた問題にはスッパリ見切りをつけるのも重要なテクニックである。
難しい問題に時間をかけるよりも、簡単な問題を確実にコツコツ拾っていった方が点数は間違いなく伸びる。
以上、本試験での心構えを解説したが、少しは参考になっただろうか?
受験生の本試験での検討を祈る。最後の最後まで諦めずにねばってきて欲しい。
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平成21年4月13日に国税庁HPにおいて平成21年度(第59回)税理士試験の日程等が公告された。
それによると試験日程は今年も例年通り、8月の第一火曜日から3日間となった。
となると、今から試験日まではあと2ヶ月ちょっとということになる。
この時期の受験生は、もう試験まで時間が無いにも関らず、自分の理想通りに勉強が進んでいないことから、かなりのストレスを感じていることと思う。
そこで、少しでも頑張っている受験生の役に立てばと思い、今回は直前期の過ごし方をお伝えしようと思う。
@自分の用意できる時間を考えて解く問題を絞れ!
この時期、専門学校の答案練習問題、補助計算問題、市販の計算問題集等々、解くべき問題が山程あるのだが、時間の無い方はあえて解く問題を絞り込んでおくべきであると思う。
何故なら、計算問題でも理論問題でもその問題を自分のものにしようと思うと、最低3回は解いておく必要がある(何度も間違える論点については5〜6回)からである。
そうすると、何でもかんでも手を出してしまうと、中途半端に解いた問題だらけになり、結局
「この問題見たことあるんだけどな〜。やり方忘れちゃった…。」
という事になってしまう。
全然時間の無い方については、各専門学校の答案練習問題を繰り返し解くようにすれば効果的である(答案練習問題だけでも10題以上はあるがこれは最低限のノルマとして頑張って欲しい)。
また 何回か解いてできるようになった問題についても、最初に解いたときに間違いが多かった問題についてはしばらく時間をおいて解きなおして自分のものになっているか確認を忘れずにして欲しい。
A直前期の計算問題対策は個別計算問題より、総合計算問題を解け!
個別計算問題を解く事はある特定のテーマに対しての強化につながるため、勉強初期の弱点克服には非常に有効であるのだが、一連の計算の流れを身に付けるのには不十分である。
実際の本試験では60〜70分の色んな論点が盛り込まれた総合計算問題形式で出題されるため、時間配分も含めて直前期は総合計算問題を中心に解いて欲しい。
苦手テーマがあったとしても、個別計算問題を解くのではなく、その論点が織り込まれた総合計算問題を用意してそれを定期的に解けば十分である。
(次回に続く)
<過去ログ>
税理士試験合格の極意〜心構え編〜(2007/12/28)
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税理士登録してからはや6年(開業してから5年半)が過ぎた。
様々な方からの支援のおかげで、ここまで比較的順調に事務所経営ができている。
開業時、弱冠27歳の若造がどのようにしてここまでやってこれたか、開業を考えている士業の卵の方には興味があるところではないかと思う。 そこで今回は当事務所が行った営業手法の一部を公開したいと思う。
昔は(現在でも)それまで勤めていた事務所からのれん分けのような形で開業当初から数件の顧問先がある先生もいる。が、私の場合のれん分けは一件もなし(円満退社だったハズなのだが。。)。。
専門学校の講師の仕事が少しあるだけで、顧問先の開拓が当初の課題であった。
(当時、講師の給料と事務所の家賃がほぼ同額であったと記憶している)
税理士業界で顧客獲得の手段といえばまだまだ紹介が中心であるため、紹介獲得に向けて、知人・友人の輪を広げておくことは当然必要になってくる。
例えばある一定の確率で、知人(名刺交換だけしかしたことない人も含む)から顧問先になる可能性があるとする。
陥りがちなミスとしては、できるだけその確率を上げようと過度(無料)のサービスをしてしまいがちだが、そんなやり方では早晩行き詰ることは明白であるし、そもそも開業当初は知人の数がしれているため、顧問先の獲得もよくて年1件あるかないかとなる。
確率的な観点から考えると、知人→見込み客→顧問先の流れは知人の数を底辺としたピラミッド型になっている。
であるならば、初期の段階では確率を上げるのもいいが、知人の数を増やすことに専念した方が効果的である。
各種の会合や勉強会に参加して積極的に名刺交換するなどできるだけ人と会う機会を増やしていく。
引っ込み思案な方には精神的にしんどいかもしれないが、ココを乗り切らなければ顧客獲得はありえないので頑張って欲しい。
「一日○人と名刺交換をする」と目標を立てるのもよいだろう。
ある程度知人の数が増えてくれば、今度は確率を上げる努力をする。
定期的にニュースレターを送付する、メルマガを発信する等で「何かあったときに思い出してもらう」仕掛け作りをするとよいだろう。
このタイミングで事務所のHP(ホームページ)もあるとメルマガ等からの誘導ができてさらに効果的である。
前回のコラムとも関連してしまうが、今後の営業展開を考えればHPは必ず作っておきたいツールである。
その理由は費用対効果がバツグンにいいからである。
(当事務所では年間の運営費用が1万円弱に対して、執筆依頼や申告書チェック等の業務依頼がHPを通じて入っており、なくてはならない営業ツールとなっている)
HPの作成に関しては、自作HPは専門知識が必要であったり、想像以上に時間がとられるといったデメリットもあるので、安価でテンプレートを購入したり、ビジネスブログからHPを立ち上げる業者のサービスを受けると良い。
(個人的にはありきたりなデザインになりがちなのでどうかと思うが、個人で手作り感満載のHPを世に送り出してしまうよりは数倍ましだろう。)
ちなみにHPと連動したブログを作っておくと、SEO対策にもなり集客効果が高まるので、更新する時間があれば作成を検討してみて欲しいツールである。
これからの士業にはHP、ブログ、メルマガが顧客獲得のための三種の神器といっても過言ではない。
補足:HP等からの問い合わせを増やすためには別途ブランド戦略が必須となる。
詳細は中嶋聡税理士事務所ビジネスマネジメントブログ「税理士のブランド戦略(2009/4/8エントリー)」参照のこと
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3月24日から日本税理士会連合会による『税理士情報検索サイト』の運用が開始された。
参考URL:https://www.zeirishikensaku.jp/
いよいよというか、ようやく税理士会も重い腰を上げたといったところだろうか。
以前から民間企業の運営する税理士紹介サイトは山のようにあったわけであるが、当然ながら登録の申し込みをした税理士の情報しか見れなかったため、特定の税理士に情報が偏る傾向にあった(登録する税理士は複数のサイトに登録するが、しない税理士は全くしないため)。
今やインターネットは生活の様々な場所に入り込んでおり、単なる情報収集の手段としてだけではなく、商品売買、病院予約、ビジネスツール等の様々な使われ方をするようになってきている。
顧客獲得の手段といえば紹介が中心(それ以外にはせいぜい電話帳に広告を載せるぐらい)であった税理士業界もその波には逆らえず、 今やHPを用意している税理士も増加の一途をたどっている。
(それでも、今だメールも使わないことにしている税理士先生がいるのもこの業界の保守的な部分といえよう。)
最近では、インターネットで顧問税理士探しをすることについての抵抗感もなくなってきているようである。
うちのHPにも「税理士 報酬料金表」での検索ワードによる訪問者が多く、ネットで報酬の安い税理士を探していることが予想できる。
(単に自分の事務所の報酬料金表を作ろうとしている税理士が参考にしているだけかもしれないが。。)
そこで『税理士情報検索サイト』の登場となるわけであるが、このサイトには税理士登録しているすべての税理士が登録されており、公開情報(税理士名、事務所所在地、電話番号)と任意公開情報(主要業務分野等)が公開されている。
このサイトの主な使われ方としては、まず一つがにせ税理士の確認であろう。
最近FPが新聞紙上で税務相談を行っていることもあるようだが、本来税務相談等は税理士の独占業務であるため、無償で行っていても税理士法違反である。
今まで税理士登録している税理士かどうかについては、一般の納税者には調べる手段が少なかったが、これで簡単に確認できるようになった。
税理士事務所側からの使われ方としては、営業ツールの一つとして考えることができる。
上記の通りちゃんとした税理士であるということが簡単に証明できるようになったメリットもあるが、専門分野等で検索をかけることもできるので、専門能力のある税理士にとってはアピールのチャンスといえる。
ところが。。。
この『税理士情報検索サイト』、任意公開情報は税理士自身が電子申告で使うICカードで認証を受けて情報登録を行う必要あるのだが、登録している税理士は。。。。
非常ーに少ない!
(登録自体は2月24日から可能であったにもかかわらずである)
税理士会からの案内文も届いていたので制度を知らないということはないはずである。
なので、単に面倒くさくてほったらかしにしているのか、そもそもICカードを取得していないのか。。
今でも、HPがある事務所と無い事務所では営業力に大きな差が生じている。
今回のように、氾濫する情報をうまく拾い上げて変化に対応できる事務所とそうでない事務所は、今後の営業力に大きな差が出てくるものと思われる。
当事務所も流れにうまく乗れるように、情報収集は怠らないようにしたいと思う。
そんなことを考えさせられる出来事であった。
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昨年10/31のコラムでも紹介したが経営承継円滑化法についてのその後を紹介する。
前述のとおり、経営承継円滑化法は@民法特例、A金融支援措置、B事業承継税制が3本の柱である
そのうち、@民法特例は施行が21年3月1日からとなり、
B事業承継税制は平成21年度税制改正においてその詳細が規定されるため経営承継円滑化法が施行された昨年の10月時点では、金融支援措置しか使えなかったことになる。
そして、今年の3月1日の民法特例の施行を迎えるにあたって、不確定だった次の2つの項目が制定・発表された
1)民法特例の適用を受けるための家庭裁判所の許可審判手続きの詳細が決定(手続き・必要書類等について)
※参考URL:http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_29.html
2)固定合意を行うための「非上場株式等評価ガイドライン」の公表(平成21年2月9日)
※参考URL:http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2009/090209HyoukaGuidelines.htm
民法特例の固定合意を行うためには後日の争いを避けるため、弁護士、税理士等の専門家が「合意の時における相当な価額」を証明することとされており、
今回はその評価方法のガイドラインが公表されたわけである。
このガイドラインには法的拘束力は無いとはいえ固定合意を行う上での一つの基準となるであろう。 施行日が近づいているので当然といえば当然なのだが、これまであやふやだった手続きの流れが一気に実務的・具体的になってきたように思う。
こうなると、目立ってしまうのが、税制改正のスピードの遅さといったところだろう。
3月中に法律が成立したとしてもその後の政令、通達が出てそろうのは早くても、5〜6月といったところか。
確かに一つの条文の表現の違いで多大な影響を及ぼすわけであるから、改正は慎重に行わなければならないのは理解できるが、それにしてもかかりすぎのように思う。
1年前から改正するのは分かっているはずであるから、もっとすんなりと行かないものだろうか。
これも通達や質疑応答集、Q&A等が実務(税額計算)に影響を及ぼしてしまう現在の税務行政のあり方に大きな問題があるように思うのだが、そう思うのは私だけだろうか?
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電子申告等特別控除とは所得税の確定申告について、納税者本人の電子署名を添付して電子申告を行うと所得税額から最高5000円の税額控除が受けられる制度である。
元々この適用は平成19年と平成20年のいずれか一回だけとなっていたが、財務省の「平成21年度税制改正の大綱」ではその「適用期限を2年延長する」としており、このままいけば21年、22年も適用を受けることができるようになるようである(いずれかの年に一回は変わりなし)。
当事務所でも、5000円とはいえ手続きによって税金が安くなるわけであるから、一人一人「適用するかどうか」を確認している。
「5000円−1000円(電子証明書取得費)=4000円微妙な金額なんで、面倒ならスルーで。」という感じで。
去年の申告のときは「今年か来年かですよ〜」とプレッシャーをかけて電子証明書の取得を促していたが、大綱どおり税制改正が行われると少し余裕がでてきそうである。
とはいえ、〆切がこないと中々行動に移せないのが人間の性である。
22年の申告のときに「今年までですよ〜」とプレッシャーをかけている姿が目に浮かぶようである。。
<参考>
財務省HP
「平成21年度 税制改正の大綱」
http://www.mof.go.jp/genan21/zei001.pdf
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平成20年12月19日に財務省が「平成21年度税制改正の大綱」を発表した。
注目の相続税制の遺産取得課税方式(※)への変更は見送られることとなったが、中小企業の事業承継を支援する経営承継人に対する納税猶予制度は盛り込まれる結果となっている。
従前のウワサでは、遺産取得課税方式に変更されれば、現在の基礎控除(5000万円+法定相続人×1000万円)が縮小されることは確実視されていただけに、納税者にとっては非常に有利な改正案と言える。
これ以外にも政府の財政再建路線から景気回復路線への方針転換を踏まえて住宅ローン控除の規模拡大や中小法人に対するの法人税軽減税率の引き下げ(年800万円以下の所得金額に対して22%→18%)等といった改正が予定されており、大盤振る舞いな印象を強く受ける。
納税者にとっては払う税金が少なくなるのは嬉しいと感じる人が多いのだろうが、個人的には、元々財政赤字が深刻な状況にあるだけに「こんなにやって大丈夫か?」という感想である。
今回の減収分を将来の消費税増税で賄うようであるが、3年で景気回復しなければどうするつもりなのだろうか?
<参考>
財務省HP
「平成21年度 税制改正の大綱」
http://www.mof.go.jp/genan21/zei001.pdf
※各相続人等が相続・遺贈された遺産の額に対して個別に相続税を課税する仕組み。
現行の相続税制も各相続人が相続・遺贈された遺産の額に対して相続税を負担するが、相続税の税額計算自体は亡くなった被相続人の遺産の総額を元に計算することになっている(算出した相続税の総額を各相続人等が相続した遺産の価格で配分していく)。
現行の制度は、遺産額が基礎控除額を超えた場合は少しか遺産を取得していない相続人についても相続税の負担が発生する点や、修正申告等で後日相続税が増加した場合には相続人全員に新たな税負担が生じてしまう(新たに見つかった遺産を取得していない相続人であっても)といった問題が指摘されている。
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平成20年11月21日に国税庁HPの消費税質疑応答集に所有権移転外ファイナンスリースの借り手側の取り扱いが新たに掲載された。
元々賃借処理が認められていた所有権移転外リース取引については、リース会計基準の改正に伴って税法でも、平成20年4月1日以後締結のリース取引に関しては賃貸借ではなく資産の売買として取り扱う改正がされた。
消費税に関して言えば、これまで、リース料を支払ってきた課税期間で少しづつ税額控除を受けていたのが、20年4月1日以後締結のリース資産からは契約を締結し、リース資産の引渡しを受けた課税期間でそのリース資産に係る消費税を全額控除できることになったのである。
しかもこの取り扱いは当初、会計処理には影響されないとのことであった(会計上で賃借処理をしてようが一括で税額控除の計算を行う必要があった)。
毎月のリース料は少なくても、リース料総額となるとかなり税額が大きいため、税理士の中でも注意が必要な税制改正項目として注目されていた取引である。
ところが、である。税理士会からの要望によって、,平成20年11月21日に国税庁が公表した消費税法の質疑応答集によれば、売買処理を原則としながらも、会計上賃借処理をしていれば、消費税法上も賃借処理による税額計算を認めるという。
正直この発表には、唖然として声もでなかった。
19年の税制改正で法人税では明確に売買処理とされ、消費税でも基本通達で売買処理となっていた(平成20年3月28日改正発表)のが、それをさらに否定する形で賃借処理を認めたということになる。
<参考>
「法人税法第64条の2(リース取引に係る所得の金額の計算)
内国法人がリース取引を行った場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があったものとして、当該賃貸人又は賃借人である内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。」
「消費税法基本通達5−1−9
事業者が行うリース取引が、当該リース取引の目的となる資産の譲渡若しくは貸付け又は金銭の貸付けのいずれに該当するかは、所得税又は法人税の課税所得の計算における取扱いの例により判定するものとし、この場合には、次のことに留意する。
(1) 所法第67条の2第1項《売買とされるリ−ス取引》又は法法第64条の2第1項《売買とされるリ−ス取引》の規定により売買があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産の引渡しの時に資産の譲渡があったこととなる。
(注) この場合の資産の譲渡の対価の額は、当該リース取引に係る契約において定められたリース資産の賃貸借期間(以下9−3−6の3及び9−3−6の4において「リ−ス期間」という。)中に収受すべきリース料の額の合計額となる。」
納税者の事務負担を考えて日税連が要望していたものが実現したということらしいのだが、条文も変更せずに解釈の違いだけで、ここまで影響の大きい改正をしてもよいものかと思う。
しかも今回の公表を前もってしてくれてたならまだしも、実際には平成20年4月1日以後締結分から取り扱いが始まっているため、4月以降に申告期限のきた法人の申告はすでに行われているわけである。
ちなみに通達を信じて申告した納税者に救済はあるのかというと、一括控除を遡って分割控除に戻すことは認められないという。まさに正直者がバカを見ることになってしまった。
<参考>
「消費税質疑応答集:所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い
【回答要旨】
移転外リース取引につき、事業者(賃借人)が賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れ等として消費税の申告をしているときは、これによって差し支えありません。
(理由等)
移転外リース取引については、リース資産の譲渡として取り扱われ、消費税の課税仕入れの時期は、課税仕入れを行った日の属する課税期間において控除(以下「一括控除」といいます。)するのが原則ですから、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括控除することになります(22 賃借人における所有権移転外ファイナンス・リース取引の消費税法上の取扱い)。
しかしながら、消費税の仕入税額控除については、事業者の経理実務を考慮して、その時期についてはこれまでも各種の特例を認めているところであり、これと同様の趣旨から、会計基準に基づいた経理処理を踏まえ、経理実務の簡便性という観点から、賃借人が賃貸借処理をしている場合には、分割控除を行っても差し支えないとしたものです。」
以前から通達による行政側の税務運営に関しては、多くの問題を抱えていると指摘されているところではあるが、時代は進み通達以前の質疑応答集を使った税務運営が行われているようになってしまったということか。
これには驚きと恐怖を感じてしまう。
なぜなら、今回の騒動で税理士は通達だけではなく質疑応答集も把握しておかなければならなくなったからである。
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「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「中小企業経営承継円滑化法」。)」
が平成20年10月1日から施行(但し遺留分に関する民法の特例に係る規定については平成21年3月1日から施行)された。
これまで、亡くなられた先代社長の財産がほぼ自社株だけの場合に
・相続人の一人(経営後継者)が自社株を全株相続した場合、他の相続人の遺留分(一定の相続人に対して保証されている遺産を相続する権利)を侵害してしまう(法定相続分でそれぞれが自社株を相続すると経営権が分散してしまうため将来的な禍根を残しやすい)
・自社株の換金価値はほとんどないが、相続税の計算上は企業の清算価値や過去の利益水準等で算定されるため、多額の税負担が必要なケースがあること(納税資金の不足)
等の問題が発生していたため、これに対応する形で今回の法律施行となった。
中小企業経営承継円滑化法では、
@遺留分に関する民法の特例、A 事業承継時の金融支援措置、B事業承継税制の基本的枠組み
を柱として、高齢化の進む日本の中小企業の事業承継を総合的に支援することを目的としている。
以下中小企業庁の「中小企業経営承継円滑化法 申請マニュアル」から要約すると
『@遺留分に関する民法の特例
後継者が先代経営者からの贈与等により取得した自社株式について、先代経営者の推定相続人全員の合意を前提として、次の2つの特例制度が創設された。
イ その価額を遺留分算定基礎財産に算入しないこと(「除外合意」)。
ロ 遺留分算定基礎財産に算入すべき価額を予め固定すること(「固定合意」)。
いずれも先代経営者の推定相続人全員の合意を前提とし、経済産業大臣の確認及び家庭裁判所の許可を受けることによって、当該合意の効力が発生する。
A金融支援措置
経済産業大臣の認定を受けた中小企業者(非上場会社及び個人事業主)等に対し、
イ株式の買取資金等を調達するための債務保証枠を拡大(保証協会の債務保証も実質的に別枠化)。
ロ日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫から代表者個人が融資を受けることができる。
なお、金利についても、通常の金利(基準金利)よりも低利の特別利率が適用される。
B事業承継税制の基本的枠組み
非上場株式等に係る相続税の軽減措置について現行の10%減額から80%納税猶予に大幅拡充するとともに、その適用対象を中小企業基本法上の中小企業全般に拡大することが決定された。
なお、この事業承継税制については、法の制定を踏まえて創設されることとなっており、法に基づく経済産業大臣の認定を受けた中小企業者の株式等を後継者が相続又は遺贈により取得した場合の相続税について適用される予定です。
また、本制度の税法上の手当は、平成21年度税制改正による税法の改正法案によってなされ、法の施行日(平成20年10月1日)以後に開始した相続に遡及適用される予定である。
事業承継税制の具体的な要件も、平成21年度税制改正による税法の改正法案に規定される予定。』
当事務所でも後継者問題に積極的に取り組んでいるため、この中小企業経営承継円滑化法をしっかりと読み込んで、現実に使えるスキームが作れないか考えていきたいと思う。
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平成16年以降に発行された税理士の電子証明書が本日一斉に有効期限をむかえる。
電子証明書はTCカードに格納され、電子申告の際に税理士の電子署名するために必要なものである。
したがって、今の電子証明書は明日(10月1日)から一切使用できなくなる。
取得した当時は、平成20年などまだまだ先の話で想像できなかったのだが、過ぎてしまえばあっという間で「えっもう更新?」という気分である。
当事務所では電子申告を推進してはいるものの、法人税の申告では利便性より煩雑が目に付き、あまり導入が進んでいない状況である。(電子申告の90%以上が個人の確定申告といった割合)
そもそも、この電子証明書の取得からして手間がかかる。
本人限定郵便(※)などという郵便制度があるのも、この電子証明書の取得で初めて知ったぐらいである。
※ 本人限定受取郵便とは、その名前のとおり、郵便物の受取が本人に限定されている郵便で、郵便物の受取の際に免許所等の本人確認書類が必要となっている。
<本人限定受取郵便を受け取るまでの手続き>
税理士の場合、事務所の所在地管轄の郵便局本局に電子証明書が格納されたTCカードが本人限定受取郵便で郵送され、郵便局より事務所に「本人限定受取郵便」到着の通知書が送付される。通知書を受け取ったら税理士本人が、(イ)
通知書、(ロ) 公的身分証明書(健康保険証やパスポート、運転免許証等)、(ハ) 印鑑(認印可)、(ニ)税理士証票を持参のうえ、受取郵便局へ(郵便局での保管期間は10日間)直接出向いて、郵便物を受け取ることになる。
証明書の期限が9月末で切れるのは取得当時から分かっていたことなのだが、まだ手続きをしていない。
本格的に使い始めるのは12月の年末調整からということもあるが、単に面倒だという理由もある。
そもそも、このTCカードを送ってもらうために日本税理士会連合会に@電子証明書発行申請書(実印で押印)、A印鑑証明書、B住民票を専用の封筒で郵送しなければいけない。
これを聞くと、後回しにしたくなる気持ちも分かっていただけるのではないだろうか。。
せめて有効期限10年ぐらいにしてもらえませんか・・・。
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最近話題のGoogleマップのストリートビュー機能をご存知だろうか?
Googleマップは検索窓に住所を入力すると瞬時に行きたい(調べたい)場所の地図が表示されるので、
以前から目的地までの行き方を調べるのに利用するなど非常に重宝していた。
そんなGoogleマップの新機能がストリートビューである。
その名前のとおり、町の様子や道が360度画像で見ることができるというものである。
これで待ち合わせがさらに便利になった。
先日も会合で始めていく中華屋の場所を調べてみたところ、道が入り組んでいたため分かりにくかったのだが、店の前の通りをストリートビューで見てみるとぼんやりとだが、中華屋の看板が。
その店は駅から5分ぐらいのところにあったのだが、道の風景(目印)もばっちり確認できたので、駅から「このコンビニの角を曲がって・・。」と全く迷わずに到着できた。
ところがこのGoogleマップ、あまりにも綺麗に建物の様子などが写りすぎる(自宅に停めている車のナンバーが見えてしまっていたりするらしい)ため、一部の人がプライバシーの侵害であると指摘しているようである。
確かに自分の家がGoogleマップで誰でも見れるというのはあまり気持ちのいいものではない。
インターネットの功罪については昔から言われていることだが、より安全で便利な社会を作るためには、一定のルールが必要である。便利だからってなんでも許されるものではない。
Googleマップの場合には一部の画像にモザイクをかけるなどプライバシーへの配慮が不可欠である。
ちなみにこのGoogleマップ現在は東京や、大阪等の大都市のものしか見れないのだが、順次サービス提供エリアを拡大していく予定らしい。
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税理士がよくやる節税対策に短期前払費用の特例の活用がある。
簡単に言うと、翌年一年分の費用を決算日ぎりぎりで前払い(年払い)して経費に落としてしまおうということである。
本当ならば、いくら今期支払ったからといって翌期サービスの提供を受ける費用を今期の費用にしてしまうのはおかしい話である。会計上も認めてはいない。
ところが法人税法では中小企業の事務処理能力や重要性等を勘案して一定の要件を満たす前払費用については、支出時の損金計上を認めてしまったのである。
根拠規定は、法人税法基本通達2−2−14(短期の前払費用)。以下引用してみると。
「前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2−2−14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払つた日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。」
ポイントとしては
・前払費用であるということ。
前払費用とは継続的な役務提供契約に基づく費用であるため、物品の購入といった役務の提供以外の費用や継続的でない役務適用にかかる費用等は除外される(それらは前払金に該当)
・支払った日から一年以内に提供を受けるものであること。
例えば事業年度が4/1〜3/31で2月28日に翌期の4月1日からの1年(4/1〜3/31)分を支払った場合には最後の役務提供が行われる翌年3月分の役務が支払った日(2/28)から1年を超えて提供されることになるため、この特例の適用を受けることができず全額が翌期の損金となる。
・実際に支払っていること
未払いのものには適用がないが、支払手形の振り出しによる支払は支払ったものとして取り扱うこととされている。
・サービスの質が定量・等質(均等・均質)のもの
これが一番議論の分かれるところであるが、意味するところは短期前払費用に係る役務の提供は支払った金額に対応する期間中、常に量・質ともに一定で、時の経過ともに自然と費用化されるものであることが前提ということである。
つまりは、地代家賃・保険料・リース料等がこれに該当することになる。ものの本にはCM放映料や税理士・弁護士の顧問料等は一定の時期に特定のサービスを受けるための支払であるとし、前払費用に該当しない(前払金)としているものまである。
以上により税理士等の顧問料はかなりのグレージーンと思われる(私見ではまっ黒)。
実際問題、実務ではかなりの数の企業が税理士報酬についてこの特例を受けているのではないだろうか。
税務調査で否認されるのを防ごうと思うと、
「いやいや。うちの事務所毎月同じサービスしかしてませんねん。均等・均質でしょ?」
と言い訳するしかないと思うのだが、それってお客さん的にはとても恥ずかしいことではなかろうか。
(確かに毎月まったく同じ試算表を見ながらまったく話をするなら均等均質といってもよいかも・・。)
処理している税理士さんはどう言い訳するのか聞いてみたいものである。
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今回のコラムはお知らせです。
なので、今回だけ趣向を変えてですます調にしてみました。
お知らせの内容は、タイトルどおり、思いつきで新ブログを始めてしまいました。
アメーバブログでブログ名は「脱税・申告漏れ日記」。
〔URL:http://ameblo.jp/nkj-tax/〕
別に脱税・申告漏れが報道された企業を批判しようとか、晒し者にしようとかいう意図はありません。
逆に、あまりにも脱税と申告漏れの違いを明確にせずに報道されていると感じる記事や、追徴課税された企業は「全部が全部、悪者だ」という論調になっていると感じる記事が多いように思い、「違うんやけどな〜」と、なんとも言えないモヤモヤ感をずっと持っていました。
そこで、脱税・申告漏れに関する記事を正しく理解するための情報を発信したいという趣旨で新ブログを立ち上げることにしました。
主な内容は、脱税・申告漏れの原因となった税法の取り扱いの解説と、脱税・申告漏れにまつわる基礎知識です。
ブログを二つコラムを一つというのは、自分の首を絞めることは分かっているのですが、立ち上げずにはいられなかったという、この心情をご理解下さい。
どれぐらいの頻度で更新できるか分かりませんが、あたたかい目で見守ってやって下さい。
中嶋聡税理士事務所 所長
税理士・中小企業診断士 中嶋 聡
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これまで、ファイナンスリースのうち所有権がリース資産の借り手に移転しないものとされる「所有権移転外ファイナンス・リース」については売買処理を原則としながらも、注記をすることによって賃借取引を採用する会計処理が認められていた。
※ファイナンスリースとはリース期間の中途で解約ができず(中途解約禁止)、かつ借り手がリース資産から生じる経済的利益を享受し、その費用(リース資産の取得価額+付随費用)を実質的に負担する(フルペイアウト)リース契約をいう。⇔オペレーティングリース
しかしながら、新リース会計基準(平成19年3月30日企業会計基準委員会公表)が適用される平成20年4月1日以後開始する事業年度においては、所有権移転外ファイナンスリースについても売買処理が原則とされることとなった。
リース会計基準が強制適用されるのは、次の要件に該当する会社及びその子会社・関連会社である。
・金融商品取引法に基づく有価証券報告書を提出する会社
・会社法上の大会社(資本金5億円以上又は負債総額が200億円以上の会社)
・会計監査人設置会社
※上記の要件に該当する会社であってもリース期間が1年以内又はリース費用総額が300万円以下である等の条件を満たすリース契約については従来どおり賃借処理が認められている。
また上記以外の中小企業では、「中小企業の会計に関する指針」により従来どおりの賃借処理が可能となっている。(その場合は重要性の高いリース取引に関しては注記が必要)
一方税務上の処理は?というと。
平成20年4月1日以降締結(事業年度等は関係なし)するファイナンスリース契約に関しては、法人税(所得税)においても、消費税においても例外なく売買処理と認識されることとなった(会計処理に関係なく)。
このため下記のとおり会計と税務の明らかな処理の差が生じることになるため、実務の現場では相当な混乱が予想される。
(法人税)
・リース契約締結時に売買の認識
・リース期間定額法により減価償却費の計算を行う。
・会計上、賃貸借処理(リース料)をしている場合は計上されたリース料を減価償却費と考える。
(∴会計上費用計上されるリース料相当額とリース期間定額法による減価償却費の額が一致すれば別表調整は不要)
(消費税)
・リース契約締結時に売買処理。
・借り手はリース契約を締結した日の属する課税期間でリース資産に係る消費税を仕入税額控除の計算対象とする。
・貸し手はリース契約を締結した日の属する課税期間で原則リース資産の対価全額を売上計上(長期割賦販売等の要件を満たすリース譲渡であれば延払基準の適用も可能)。
この会計と税務の差は株式移転・株式交換から始まった企業組織再税制でも顕著に現れていたが、中小企業では組織再編案件の数がそれほど多くないため、混乱も最小限のものにおさまっているように思う。
しかしながら、リース契約に関しては採用していない会社の方が少ないぐらいで、今回の改正の影響は計り知れない。
会計と税務。使用目的が違うからといっても、近年その差が広がりつつあるように思えてならない。
似ているようで全く違う。まるで仲の悪い兄弟のようである。
いつも一緒じゃダメなのか・・・?
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ねじれ国会のために様々な法案が成立しにくい状況である。
ガソリン税を巡る今回の騒動で、皮肉にも税制に関する法律は、国民生活に直接影響を及ぼすものであることが証明された。
特に会社員のなどで、普段税金にかかわらない方にもそれが実感されたのではないだろうか。
混乱により一躍注目を浴びた「租税特別措置法(以下「措置法」という)」は法人税、所得税といった国税に関する特例的な取り扱いを政策的判断で認めた法律である。
措置法は時限立法として限定的な期間を決めて規定されており、「〜平成○○年××月△△日までの期間内に・・・」といったようにその適用期限が記載されている条文がたくさんある。
我々税理士も、「期限切れの法律どうなんのかな〜」と今はただ傍観するしかない。まさに前代未聞の状況にある。
この混乱の影響は、税理士試験にも及んでいる(当然といえば当然だが。。)
4/24に国税庁のHP上で公表された平成20年度(第58回)税理士試験受験案内では一応「(4)適用法令等 今回の試験で適用すべき法令等は平成20年4月14日(月)現在施行のものとします。」となっている。
通常であれば、期限が切れている措置法は適用が無いものとして問題を解かなければならない。しかしながら、適用日を遡って規定することも可能であるからややこしい。
実際に4/30に再可決された条文を見ると平成20年4月1日からすることになっているものもあれば、平成20年4月1日〜4月30日の一ヶ月間だけ適用がないものもある。
法人税・所得税には措置法に関連する規定が非常に多い(しかも長文で読みにくい!)ので、受験生は頭を悩ませる事になるだろう。
そう考えると、税理士試験の受験生とその問題を作る試験委員が、今日本で一番国会議員に不信感を抱いているのではなかろうか。
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ようやく、ホームページのリニューアルが完了。
とりかかったのが昨年の年末からだったので、確定申告をはさんで丸々3ヶ月かかったことになる。
途中、確定申告や原稿執筆による中断期間が長く、予告していた3月末リニューアルが危ぶまれたがなんとか最後の3日間で間に合わせることができた。
ブログやコラムでも紹介していたが今回の自信作はなんといってもトップページのFlashである。
自画自賛だが素人にしては、よくできていると思う。
(私の技術というより、フリーソフトながら市販の何万もするソフトに負けない性能を搭載したSuzukaの作者の方がすごいんだが。。。)
完成までは数々の苦労があったが、何はともあれ無事できたので、このツールを使って今年は営業活動にも力を入れていきたい。
ここだけの話、中嶋事務所は今年大きなプロジェクトを抱えている。今年が飛躍の年になるかどうかの大きなプロジェクトである。
いずれこのホームページとブログで公表する予定なので、それまでしばしお待ちあれ!
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